今日、お客様が訪れました。
「信重のおたくですか?」と、、、
実は、20年来、小島信重を探していたそうです。
それは、信重の「柄香炉」を骨董屋でお求めになってからなのだ
そうです。
なにをかくそう、当工房の二代目信重の父
一代目は、自分の名を売るのが大そう苦手な人でした。
変わり者で、自分のサインはあまり残さなかった。
その理由は父の記憶にあるようで、
「おれの作ったものは見ればわかる!わからない人にはそれでいい」
これが、一代目の言葉だそうです。
ん〜変人ですね。(笑)
さて、香炉の箱書きには、銘が入っているようです。

この香炉はモデルに、正倉院のものを用い、
その風格を作ったものなのだそうです。
金、金消しでつくられ、孔雀石、珊瑚で装飾されたものです。
20年前で骨董屋から、100万でお求めになられたそうです。
(ちなみに今つくったら400万くらいだそうです)
その骨董屋さんの店主がお亡くなりになられ
代を継いだ娘さんが、「小島信重」をネットで検索。
そして、この工房にいらっしゃったというわけです。
父方の実家にはこれと同じものが現存します。
お客様は、「無名の美しい古物」が大そうお好きなのだ
そうです。
信重はその筋では有名であったが、
やはり、名を残さなかったので、廃れてる感は感じます。
代表作、「神輿」京都の井尾真美堂様を経て、
現在、個人蔵のものです。
実際の神輿のように、それぞれのパーツがはずせます。
金、銀、銅を駆使した俊作で、
弟子も皆総出で参加したそうだ。
現在、作ったら、数千万であるそうだ。
完成までに、依頼主が亡くなり、さまざまな手に渡った作品です。
神田明神の300貫神輿がモチーフ。
実際の神輿の装飾にも、信重は携わっていたからなのだと伝わります。

当工房には、信重の完全な作品は現存しません。
その愛弟子の小島恵雲と、二代目の作品ばかり。
それでも、お客さまは喜んでくださいました。
やはり、江戸から、昭和初期の無名の職人のすばらしさを
語られました。
今にも動き出しそうな魚の彫刻。
無名なので驚いたのがきっかけで収集が始まったそうです。
有名な作家でも、高い。安いのにその値段以上の出来の
無名作品はたくさんあるのだそうです。
そこに情熱を感じられているのですね。
ステレオタイプではなく、
自分の目で見て求める。これは奇特ですね。

とにかく、今も続いていることが
うれしかったと語られ、私たちもうれしかったです。
一代目の「見る人はわかる」
なるほど、、、と感じた。
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